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同じ工場で働いていても、作業者から次のような声が出ることがあります。
– 「私の工程だけ暑い」
– 「隣の工程はエアコンが効いているのに、こっちは灼熱」
– 「冬はシャッターが開くと寒風が吹きこんでくる」
– 「経営層は、このつらさが分かっていない」
一方、管理する側からは
「工場内の温度はそれほど変わらない」
「暑さや寒さの感じ方には個人差がある」
という意見が出ることもあります。
確かに、暑さや寒さの感じ方には個人差があります。
しかし、それで作業者の声を片づけてしまうと、
改善すべき作業環境の問題を見落とす可能性があります。
大切なのは、作業者の「暑い」「寒い」という声を
単なる不満として扱うのではなく、
工程ごとの温湿度と作業条件を調べ、
改善活動に使える情報へ変えることです。
この記事では、工程による温度差と作業者の感覚を見える化し、
暑さ対策・寒さ対策の優先順位を考える方法を紹介します。
同じ工場でも工程によって作業環境は違う
工場全体が一つの建物であっても、すべての場所が同じ環境になるとは限りません。
例えば、次のような条件によって温度や体感は変わります。
– 炉、乾燥機、溶接機などの熱源がある
– 冷蔵設備や冷却工程が近くにある
– 空調や送風機の風が届きにくい
– シャッターの開閉によって外気が入りやすい
– 作業者が厚い作業服や保護具を着用している
– 重量物の運搬など、身体的な負担が大きい
これで、工場の中央に温度計を1台だけ設置し、
「工場内は30℃です」と記録しても、
それぞれの工程の環境を正しく表しているとは限りません。
工場全体の平均ではなく、実際の作業場所ごとに確認する必要があります。
「感じ方の個人差」だけで終わらせない
同じ温度でも、暑いと感じる人と、暑くないと感じる人がいます。
年齢、体調、暑さへの慣れなども関係するため、
感覚の違いを完全になくすことはできません。
しかし、例えば熱源設備近くの複数の作業者が毎日のように
暑さを訴えているのであれば、個人差だけではなく、
その工程に共通する原因があるかもしれません。
反対に、測定した温度が隣の工程と同じでも、
熱源からの輻射熱、作業量、防護具、風の流れなどが違う可能性があります。
つまり、温湿度の測定値と作業者の感覚が一致しない場合も、
それは無駄な結果ではありません。
温度と湿度以外の原因を調べるきっかけになります。
工程ごとの環境差を見える化する5つの手順
STEP1 測定する工程を決める
最初に、作業者から暑さや寒さの声が出ている工程と、比較対象となる工程を選びます。
例えば、次のような測定構成です。
| 測定場所 | 測定目的 |
| 屋外 | 外気温・外気湿度を比較基準にする |
| 熱源のある工程 | 熱源の影響 |
| 工場中央部 | 窓や換気扇の効果が低い |
| 空調設置工程 | 空調の有無の比較 |
| 窓やシャッターに近い工程 | 外気流入の影響 |
| 休憩室 | 休憩時の環境 |
すべての工程を一度に測る必要はありません。
まずは問題があると思われる工程と比較対象の工程、屋外の3地点程度から始めてもよいでしょう。
STEP2 複数の工程を同じ時間に測定する
工程間を比較するには、同じ日の同じ時間帯に測定することが重要です。
各工程を別のタイミングで測定した場合、
工程差ではなく天候の違いや設備の稼働状況などが
測定結果に含まれてしまいます。
複数地点を同時に常時測定すれば、次のようなことが分かります。
– どの工程が外気温との差が大きいか
– 稼働日/非稼働日の差が大きいのはどこか
– 作業者の感覚と比べてどうか
– 問題になるのは暑さか寒さか
– 作業環境の不公平感は
瞬間的な測定だけではなく、
一定期間継続して記録することも大切です。
STEP3 作業者の感覚も数値にする
温湿度だけでなく、作業者がどのように感じているか
これも簡単なアンケートで記録します。
例えば、温冷感を次の7段階で回答してもらいます。
| 点数 | 感覚 |
| -3 | 非常に寒い |
| -2 | 寒い |
| -1 | 少し寒い |
| 0 | 快適 |
| +1 | 少し暑い |
| +2 | 暑い |
| +3 | 非常に暑い |
あわせて、次の項目を確認すると原因を考えやすくなります。
– 現在の環境を許容できるか
– 暑さや寒さで作業に集中しにくいか
– 汗、冷え、疲労などを感じるか
– 作業服や保護具を負担に感じるか
– 風が強すぎる、または風が届かないと感じるか
アンケートは個人を評価するためのものではありません。
氏名を記入させず、「工程」「時間帯」「感覚」だけを記録する方が、
率直な回答を得やすくなります。
エンゲージメント調査の一環ともいえますね。
STEP4 温湿度・感覚・作業条件を並べる
測定結果とアンケートを、工程、作業内容ごとに整理します。
- 工程
- 温度(平均、最低、最高)
- 湿度(平均、最低、最高)
- 作業者の感覚
- 作業内容(定位置、歩行中心、軽作業、重量物取扱)
- 作業服、保護具の着用
- 空調、送風設備 など
これらを分析すると、
「どの工程から対策すべきか」
「どんな対策が効果的なのか」
データを使って検討できます。
歩行作業が中心の作業者向けに
スポットクーラーを設置してもダメ
加熱設備の影響を受けているところに
外壁断熱をしてもダメですよね
温度が一番高い工程を自動的に最優先にするのではありません。
作業時間、身体的負担、服装、熱源なども含めて判断します。
STEP5 対策後も同じ条件で測定する
環境を測定する目的は、工程に順位を付けることではありません。
測定結果を改善につなげることが目的です。
対策を実施したら、同じ測定場所、同じ時間帯、同じ作業条件で再度測定します。
そして、次の変化を確認します。
– 基準点との温度差はどうなった
– 暑い、寒いと回答する割合が減ったか
– 問題となる時間帯が短くなったか
– 作業者が対策効果を実感しているか
– 別の工程に新たな問題が発生していないか
「対策を実施して終わり」ではなく、
対策前後を比較することで、次の改善判断に使えるようになります。
効果がなければ「なぜ見込んだ効果なかったか」
これを分析することで次のステップに進めます
工場マップで表示すると伝わりやすい
工程別の温湿度を工場の図面上に表示すると、
どこに環境差があるかを直感的に理解できます。

表やグラフだけでは測定地点の位置関係が分かりにくいです。
「工程を理解している人ならわかる」
これってもったいないですよね。
新入社員でも測定場所が瞬間的にわかる
メリットしかないです。
工場マップ上に各工程の測定値を配置すれば、
熱源、外壁、シャッター、空調設備などとの
位置関係も確認しやすくなります。
作業者への説明や、改善予算を申請するときにも利用できます。
温度と湿度だけでは説明できないこともある
温湿度測定は、工程ごとの環境差を調べる有効な第一歩です。
ただし、作業者が感じる暑さや寒さは温度と湿度だけで決まりません。
– 作業による身体的負荷
– 作業服や保護具
– 風速と風向き
– 炉や屋根から受ける輻射熱
– 連続作業時間と休憩
– 作業者の体調
これらも影響します。
また、温湿度モニターは温度と湿度の傾向や
工程差を確認するものです。
熱中症リスクを正式に判定する
WBGT測定器そのものではありません。
安全管理を目的とする場合は、
作業環境に適したWBGT測定や必要な
安全対策もあわせて検討してください。
温湿度の数値と作業者の感覚が一致しない場合は、
「作業者の感じ方がおかしい」と判断するのではなく、
温湿度以外の要因がないかを調べることが重要です。
作業者の声を改善活動のデータに変える
作業者の「暑い」「寒い」という声は、
単なる不満ではありません。
作業環境に問題があることを知らせる大切な現場情報です。
一方で、感覚だけではどの工程から対策すべきか、
対策によってどれだけ改善したかを説明するのが難しくなります。
そこで、次の3つを組み合わせます。
1. 工程ごとの温湿度データ
2. 作業者の温冷感アンケート
3. 作業負荷や服装などの作業条件
これによって、作業者の声を否定するのではなく、
具体的な改善課題として整理できます。
作業者の声を否定しはじめると
「なにを言っても聞いてくれない」と
不満を蓄積させるだけですよ。
最大10地点の工程別温湿度をまとめて確認
改善工房Y 温湿度IoT Monitorは、
工場内と屋外の温度・湿度を複数地点で自動測定し、
Windowsパソコン上で確認するためのシステムです。
– 最大10台のセンサーを同時表示
– 工程名を付けてリアルタイムに確認
– 履歴グラフで時間帯別の変化を比較
– 工場マップ上に測定値を表示
– CSV形式でデータを保存
– 1台から導入し、必要に応じて追加可能
まず問題が気になる工程を1か所測り、
次に比較対象や屋外へ測定地点を増やすこともできます。

自社工場ではどの工程を測ればよいか、
何台のセンサーが必要か分からない段階でも構いません。
工場の状況と確認したい課題を伺い、測定方法をご提案します。
[改善工房Y IoT Monitorの詳細を見る]
↑ なんぼすんねん?と思ったら
[導入環境チェックシートを見る]
↑ うちの工場使える?と思ったら
[工程別の温湿度測定について相談する]
↑ コスパのいい暑さ対策教えてくれ!と思ったら
まとめ
同じ工場内でも、熱源、外壁、換気、シャッター、空調、作業負荷など
工程ごとの作業環境は異なります。
工場中央の温度計1台だけでは、
それぞれの作業場所で起きている
暑さや寒さを把握できないことがあります。
作業者の声と工程ごとの温湿度データを組み合わせれば、
「誰の感覚が正しいか」を議論するのではなく、
「どこに、どのような改善が必要か」
を話し合えるようになります。
暑さ・寒さ対策の最初の一歩は、
作業者の声を聞き、実際の作業場所を同じ時間に測ることです。
感覚を否定せず、感覚だけで終わらせない。
現場の声をデータに変え、働きやすい工程づくりにつなげていきましょう。


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