工場の現場では 生産数や生産金額で
労働生産性を評価できます。
しかし、事務所スタッフや 設備保守、物流部門などの
間接部門では 数値化が難しいのが現状です。
日本の労働生産性はOECD加盟国で下位
2023年のデータによると
日本の時間当たり労働生産性は 56.8ドル(約5,379円)。
OECD加盟38カ国中29位という 非常に低い水準です。
一人当たりの労働生産性も 32位と下位に沈んでいます。
この背景には 間接部門の生産性向上が
十分に進んでいないことも 一因と考えられます。
なぜ間接部門の生産性評価は難しいのか?
間接部門の業務は 「成果」が目に見えにくく 定量的な指標が設定しづらい。
例えば、
・事務スタッフの書類処理
・設備保守の点検作業
・物流部門の受け入れ・出庫
これらは「何件処理したか」だけでなく
「正確さ」「スピード」「再発防止」など
複数の要素が絡みます。
そのため、 単純な数値だけでは 評価が難しいのです。
解決の第一歩:業務のデジタル化調査
まずは、 現状の業務を棚卸ししましょう。
どの業務が 紙ベースで行われているか?
どの業務が Excelや手作業で処理されているか?
この調査を通じて 「デジタル化できる業務」を 洗い出します。
デジタル化の例(低コストで可能)
中小企業でも導入しやすい ツールを活用することで
間接部門の業務を効率化できます。
1. GoogleフォームやMicrosoft Forms
・日報や点検記録をデジタル化
・スマホやPCで簡単入力
2. 無料のRPAツール(例:Power Automate)
・定型業務の自動化
・メール転送、ファイル整理など
3. チャットツール(Slack、LINE WORKS)
・連絡の効率化
・情報共有のスピードアップ
4. クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox)
・書類の共有
・検索が簡単に
・紙の保管スペース削減
自動化による間接部門の生産性向上
デジタル化の次のステップは 「業務の自動化」です。
自動化といっても 高額なシステム導入は不要。
中小企業でも導入しやすい
無料または低コストのツールで 十分に効果を出せます。
自動化の具体例
1. 定型メールの自動送信
・見積依頼や納期回答など (テンプレート+RPAで自動化可能)
2. ファイルの自動整理
・受信したPDFやExcelをフォルダごとに分類 (Power Automateで設定可能)
3. 点検記録の自動集計
・Googleフォームで入力された内容をスプレッドシートに自動集計(グラフ化も可能)
4. 出荷・受け入れ記録の自動転記
・バーコード読み取り→記録→転記 (スマホ+クラウドで実現可能)
生産性の「見える化」がカギ
自動化した業務は ログや記録が残るため 生産性を数値化しやすくなります。
例えば、
・1日あたりの処理件数
・エラー率
・対応時間
これらを定期的に確認することで
さらなる改善ポイントが見えてきます。
KPI(重要業績評価指標)の設定
間接部門でも KPIを設定することで 目標管理&成果把握が可能になります。
例:
- 事務部門 → 書類処理件数、処理時間
- 設備保守 → 点検件数、故障対応時間
- 物流部門 → 出荷ミス率、処理件数
KPIは「数値化できる業務」から 少しずつ設定していくのがコツです。
評価制度の構築とモチベーション向上
間接部門の生産性向上には
評価制度の整備が欠かせません。
数値化されたKPIをもとに
スタッフの貢献度を可視化し
適切なフィードバックを行うことで
モチベーションが高まります。
評価制度のポイント
1. 定量+定性の両面評価
・処理件数や対応時間などの「定量」
・改善提案やチーム貢献などの「定性」
2. 定期的な振り返り
・月次や四半期ごとの面談
・KPIの達成状況を共有
3. 成果に応じた報酬や表彰
・小さな成功でも認める文化
・モチベーション維持に効果的
スタッフの意識改革も重要
生産性向上は ツールや制度だけでは実現しません。
スタッフ自身が
「どうすればもっと効率的に働けるか」
を考える風土づくりが必要です。
そのためには
・業務改善提案の場を設ける
・成功事例を社内で共有する
・失敗を責めず、学びに変える
こうした取り組みが 間接部門の力を引き出します。
最後に:中小企業こそチャンスあり
大企業に比べて 中小企業は意思決定が早く 現場との距離も近い。
だからこそ、 小さな改善がすぐに実行でき 成果につながりやすいのです。
まずは 「できるところから」始めること。
紙の業務をデジタル化し
定型作業を自動化し
KPIで評価し
スタッフの意識を変える。
これが 間接部門の生産性向上の第一歩です。
最後までみていただいてありがとうございます
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