【工場の見える化】「これ、要るの?」と言われないための活用法とは? アラフィフ生産技術の日常

【工場の見える化】「これ、要るの?」と言われないための活用法とは?

【工場の見える化】「これ、要るの?」と言われないための活用法とは? 改善活動
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近年、多くの製造業の現場で「見える化」が進められています。大型ディスプレイに生産計画に対する進捗状況を表示することで、以下のようなメリットが期待されています。

  • リアルタイムの状況把握
    現場の稼働状況や各工程の進捗が一目でわかるため、問題発生時の迅速な対応が可能となります。
  • コミュニケーションの促進
    全員が同じ情報を共有することで、現場スタッフと管理者間の情報格差を解消し、より円滑なコミュニケーションが期待できます。
  • 業務効率の向上
    現状把握が容易になることで、次に取るべき行動やリソースの再配分が迅速に判断でき、生産効率が上がるとされています。

表示される進捗状況と現実のギャップ

しかし、実際の現場では、ディスプレイに表示された情報がただの「見える化」で終わってしまっているケースが圧倒的に多いという現実があります。生産現場に限らず、管理スタッフ側でも以下のような問題が指摘されています。

  • 「見える化」がゴールになってしまう
    ディスプレイに工程ごとの進捗状況を表示すること自体が最終目標となり、そこから先のアクションが欠如しているため、表示されている情報に対して具体的な改善策が講じられないままになっています。
  • 誰も見ていない現状
    情報は常に表示されているにもかかわらず、現場のスタッフや管理者がそれを有効活用している形跡は少なく、ただのデジタルサイネージに終わっている状況です。

このように、表示するだけで終わってしまうと、「見える化」の本来の目的である迅速な問題解決や業務改善につながらず、ただの投資コストと電気代がかさむだけになってしまいます。


「見える化」を活用するために

もしこの「見える化」を活用し、効果的な業務改善を実現したいのであれば、以下の点を検討してみてください。

  1. 情報をもとにした具体的なアクションプランの策定
    表示される進捗状況を定期的にレビューし、現場の問題点を洗い出すミーティングを定期開催することで、改善策をリアルタイムに実施できる体制を整えましょう。
  2. スタッフへの研修と意識改革
    見える化ツールの意義や活用方法について、現場スタッフと管理者双方に対する研修を行い、情報をただ見るだけではなく、積極的に活用する文化を育成する必要があります。
  3. フィードバックループの確立
    表示された情報を元に、どの改善策が効果的だったか、またはどこに問題があったかをフィードバックとして取り入れる仕組みを導入することが重要です。

事前プランニングの重要性

最近では、自動生成AIを筆頭とした「DX革命」が各業界で提唱されていますが、これらはあくまでツールであり、最終的に使いこなすのは人間です。
ディスプレイ設置やシステム導入そのものがゴールになってしまい、「お金いっぱいかかったなぁ~。だれも使ってないなぁ~」という事態に陥らないよう、導入前の事前プランニングが最も重要です。

具体的には、ツールやシステムを導入する前に、どのような業務課題を解決したいのか、どのように現場やスタッフに活用してもらうのか、そしてどのタイミングでどのようなアクションを取るのか、全体の運用計画を明確に策定する必要があります。ツール自体は優れたものでも、使い方が定まっていなければ、せっかくの投資が無駄になってしまいます。

「これ、大谷翔平さんと同じバットだからホームラン打ってこい」と野球経験がない人がバット渡されても困りますよね。導入する側が「こういう使い方をするのが効果的だよ」「こんな使い方もあるよ」といった教育が重要ですよ。最初に基礎知識を身に着ければそこからアイデアが産み出せるんですね。


活用が難しい場合は?

とはいえ、上記のようなアクションが十分に実施されない場合、見える化は逆に無駄な投資となってしまう可能性もあります。具体的には、

  • 管理用ソフトウェアの開発コスト
    情報をただ表示するだけでなく、データの解析や改善策の提案を行うシステムの開発には、相応のコストと時間がかかります。
  • ディスプレイ設置費用と運用コスト
    大型ディスプレイの設置費用、メンテナンス、そして微々たるが積もり積もれば無視できない電気代など、ランニングコストが発生します。
  • 情報活用の実態が乏しいリスク
    結局、現場でもスタッフ側でも情報を有効に活用できなければ、せっかくの設備投資が形だけの「見える化」に終わってしまい、無駄なコストだけがかさんでしまいます。

このようなリスクを考慮すると、もし「見える化」を十分に活用できる自信がない場合は、導入を見送る選択肢も慎重に検討するべきでしょう。

「とりあえず導入してから使い方を考えよう」なんて考えはしないようにしてくださいね(笑)


まとめ

「見える化」の導入は、現場の迅速な対応や業務効率の向上を期待できる一方で、活用方法を誤ると投資コストだけがかさむリスクも抱えています。また、最近のDX革命や自動生成AIの流れに乗る際も、ツールそのものではなく、それをどのように活用するかが最も重要なポイントです。導入前には、具体的な運用計画やスタッフの意識改革、フィードバック体制の確立など、単なる情報表示を超えた取り組みが必要不可欠です。これらが整わない場合は、導入を見送るという選択も一考に値するでしょう。

以上の点を踏まえ、貴社の現場に最適な「見える化」戦略とDX活用計画を検討してみてはいかがでしょうか。

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